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コラム

2022.12.27

失敗しないECシステムのリプレイスとは?進め方とチェックポイントを解説

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競争激化のEC市場では、ユーザーに選ばれ、利用され続けるECサイトとして存続するためには、一定の間隔でECサイトのリニューアルが必要になります。
ECサイトのリニューアルでは、ECシステムのリプレイス(移行)が必要になるケースも珍しくありません。
ECサイト運用の課題を抜本的に解決するために、ECシステムのリプレイスはとても効果的です。
ただし、リプレイスの目的や自社のビジネスモデルと合致しないECシステムへのリプレイスによって、失敗するリスクがあることも事実です。
本コラムでは、失敗しないリプレイスの進め方とチェックポイントについて解説します。

01.ECシステムをリプレイスするタイミング

ECサイトの運用では、日々さまざまな課題に直面します。ECシステムをリプレイスしないと解決できない課題も少なくありません。
以下のような課題が顕在化している場合は、ECシステムのリプレイスを具体的に検討するタイミングといえます。

● 既存システムに制約があり新しいサービスを始められない
● 売上伸長に向けて機能を追加したいがカスタマイズがきかない
● 売上規模の拡大で既存システムのスペックに不満を感じる
● 管理画面が使いにくく日々の運用に支障がある
● 既存システムのセキュリティに不安を感じる
● 理想とするサイトのUI・デザインを実現したい
● 実店舗との連携でオムニチャネル・OMOを実現したい
など

02.ECシステムの選定に必要な準備(必須となるステップ)

ECシステムのリプレイスに失敗しないためには、具体的なシステムの選定に入る以前に、リプレイスの目的や予算などを社内で整理しておくことが大切です。
以下のようなステップで進めることで、システムの選定基準が明確になり、重要な要件定義もスムーズに進めることができます。

ステップ1:リプレイスの目的を明確にする

リプレイスする目的が明確になっていないと、新システム選定の基準が曖昧になりベストな判断できません。
なぜリプレイスするのか?どのようなECサイトを作るのか?などの目的をしっかり整理する必要があります。

ステップ2:実装する機能、実現するサービスを洗い出す

リプレイスの目的を明確にした後、目的を達成するために必要な機能、実現したいサービスを洗い出します。
売上を伸ばすことが目的であれば、アクセス数を増やす、新規顧客(リピーター)を増やす、客単価を上げるなどの取り組みが必要になります。
このようなリプレイスの目的に即した取り組みの実現を踏まえた機能やスペックを明らかにしていくことで、ECシステムの最終的な選定基準が決まるとともに、要件定義の充実を図ることができます。

リプレイスの目的と必要な取り組みの例

● リプレイスの目的:売上を伸ばす
〇 必要な取り組み例:アクセス数を増やす、新規顧客・リピーターを増やす、客単価を上げる、定期購入率を上げる など

● リプレイスの目的:セキュリティの強化
〇 必要な取り組み例:堅牢なサーバを使用する、脆弱性のないソフトウェアを使用する、ネットワークの監視を実行する など

● リプレイスの目的:オムニチャネル・OMOの実現
〇 必要な取り組み例:実店舗と顧客情報を統合する、在庫・倉庫データを統合する、POSと連携する、ポイントプログラムを連携する など

ステップ3:予算と開発スケジュールを設定する

リプレイスに掛かる予算と、ECサイトのリニューアルオープンに合わせた開発スケジュールは、ECシステム選定の重要な判断基準になります。
リプレイスに掛かる初期費用はASPで数万円~フルスクラッチで数億円まで、開発期間はデータベースの規模や追加する機能によりASPで3カ月~フルスクラッチで1年以上と、初期費用と開発期間ともに大きな幅があります。

ステップ4:自社の条件に見合うECシステムをピックアップする

リプレイスの目的から機能、予算、開発スケジュールを整理した後、候補となるECシステムの選定に入ります。自社の条件に見合いそうなECシステムをピックアップ(見合わないECシステムを除外)した上で、具体的に問い合わせをしていきます。
現在では多くのECシステム(製品)があり、機能、スペック、価格、カスタマイズの自由度などさまざまな違い(特徴)があります。EC市場の成長と合わせてECシステムも進化しており、従来は叶わなかった機能やサービスを実現できる製品も続々と出てきています。
また、製品そのものの吟味だけでなく、システムベンダーについて調べることも重要です。
以下のチェックポイントに沿って、一通りすべての項目を確認するようにします。

03.ECシステム・システムベンダーのチェックポイント

機能

〇 リプレイス後に使用する機能は備わっているか・カスタマイズ可能か
〇 リプレイス後に開始するサービスは実現できるか
〇 理想とするUI・デザインを実現できるか
〇 想定する売上規模とシステムのスペックに乖離がないか
〇 既存のサービスや機能をリプレイス後も継続できるか
など

運用

〇 運用(管理画面の操作性やサイトの更新作業など)がどの程度変わる(改善される)のか
〇 リプレイスが原因で運用業務に支障が出ないか
〇 基幹システム・販売管理システム・在庫管理システム、MAツール・CRMツールなどと、必要な情報を必要なタイミングで連携できるか
など

データ移行

〇 既存システムに格納されているデータ類(顧客データ・商品データなど)を新システムに移行できるか
〇 受注データの引き継ぎができるか
など

セキュリティ

〇 システムやサーバのセキュリティに問題はないか(セキュリティ条件を満たしているか)
〇 PCI-DSS(クレジット業界のグローバルセキュリティ基準)に準拠しているか
など

システムベンダーの対応(信頼性)

〇 ECサイトのリニューアルやリプレイスの実績が豊富か
〇 要件定義を十分に行うか
〇 ECサイトの運用などECビジネス全般に関する知見があるか
〇 メンテナンスに関する体制があるか
〇 保守管理やセキュリティ対策のスキル(技術力)があるか
〇 データ移行のサポートが可能か
など

費用

〇 イニシャルコスト(初期費用)が妥当か(予算の範囲内か)
〇 ランニングコスト(月額料金・運用にかかる費用)が妥当か(予算の範囲内か)
など

納期

〇 リニューアルオープンに合わせて確実な開発スケジュールを組むことができるか
など

このように、チェックポイントは少なくなく、候補となるECシステム・システムベンダーごとにリプレイスの目的を明確にし、実現したい機能や必要な機能の優先順位を整理した上で、すべてをチェックながら伝える必要があります。
また、システムベンダーと直接やり取りするためには、自社内にECシステムについての知見やスキルを有している必要があり、実際にはECビジネスに明るく、ECシステムの開発、ECサイトの運用など得意とするパートナーを介して実施する流れが一般的といえます。

04.まとめ(パートナー・システムベンダーに必ず確認すること)

データ移行は作業の負担が重く、消失や破壊などの重大な事故につながりかねません。自社で行うリスクを考えると、データ移行のサポートに信頼のおけるパートナー・システムベンダーを選ぶことが大切で、社内外のシステムやツールとの連携、サーバのスペック見直しや保守管理体制などのシステム面についても、合わせて確認しておく必要があります。

また、十分な要件定義を行えるパートナー・システムベンダーを選ぶ視点も重要です。
ECシステムのリプレイス・ECサイトのリニューアル後の運用までを想定し、要件定義を十分に行うことで、開発がスムーズに進むだけでなく、不要な開発を行わずに費用対効果の高いECサイトを完成させることができます。

リプレイスの目的達成はもちろん、ECビジネス成功をゴールとするソリューションの吟味と最適解としての提案、リプレイス後のサポートも手厚いパートナー・システムベンダーは、その分だけ費用が高く感じられることもありますが、長期的に考えるとメリットが多いはずです。
反面、費用が安く感じられたとしても、新システム導入後の十分なサポートを望めず、その結果、新たなツールの導入や運用代行を頼まざるを得なくなるなど、想定よりコストが高くついてしまうケースも珍しくありません。

ECシステムのリプレイスでは、パンフレットや価格表だけでは判断できない、パートナー・システムベンダーの付加価値(スタンス)を考慮することが、リプレイスを成功させる(失敗しない)最も重要なポイントといえます。

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この記事の著者

マイクロウェーブ マーケティングチーム

マイクロウェーブ マーケティングチーム

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