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コラム

2024.06.20

【Society 5.0】未来のインターフェース、空中結像技術とは

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空中結像は、コンビニのセルフレジなどで実証実験が行われるなど近年注目が高まっている投影技術です。公共施設やエンタメ領域に加えて医療や教育、メタバースにまで適応されていくと予想されています。本記事では空中結像の技術についての簡単な説明と、注目を集める現状、そして技術の課題点を解説していきます。

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空中結像とは

空中結像技術について

空中結像技術は、光学技術を用いて空間に映像を投影する技術です。従来のディスプレイとは異なり、物理的な画面が必要ないことが違いで、設置場所の自由度が高く、視覚的に訴求力のある表示が可能です。

空中結像技術の最大の特徴は、その広い視野角にあります。従来のディスプレイでは、見る角度によって見え方が変わってしまうことがありましたが、空中結像技術であれば、複数人で同時に同じ映像を鮮明に見ることができます。

さらに、近年では個人情報を扱う場合にディスプレイを覗き込ませない技術も開発されています。これは、プライバシー保護の観点から重要な技術です。

空中結像技術を用いることで、ユーザーはまるで空間に映像が浮かんでいるかのような、今までにない感覚を体験することができます。これは、従来のディスプレイでは決して得ることができなかった、全く新しい視覚体験です。

空中結像の仕組み

空中結像技術は、SF映画のように空中に映像を浮かび上がらせる技術です。その基本的な仕組みは、光と特殊な構造の光学プレートを巧みに利用したものです。

具体的には、画像や物体から発せられる光線を、特殊な構造を持つ「光学プレート」に通過させます。この光学プレートは、まるで鏡のような役割を果たし、入射した光を特定の方向に反射します。そして、反射された光線が再び交差することで、空中に像が形成されるという仕組みです。この再帰反射を用いた空中結像は、AIRR(Aerial Image Relay with Retroreflection)とも呼ばれています。

※技術的な詳細については以下のサイトが参考になります

AIRR以外にも、空中像をより鮮明に見せるために偏光変調を利用した「p-AIRR」や、ユーザーが装置の向こう側を見ることができるようにシートの配置を変える「光学シースルー型AIRR」など、様々な手法が開発されています。

空中結像以外の空中ディスプレイ

空中ディスプレイは、空中結像以外にも様々な方式が存在します。代表的なものでいうとホログラフィックディスプレイ、透明ディスプレイがあげられます。

1. ホログラフィックディスプレイ
ホログラフィックディスプレイは、空間光変調素子と呼ばれる微細なミラーを敷き詰めたパネルを用いて、空間に3D映像を投影する技術です。まるで目の前に物体が浮かんでいるかのような、非常にリアルな映像表示が可能となります

2. 透明ディスプレイ
透明ディスプレイは、透明な基板に映像を表示する技術です。従来のディスプレイと異なり、画面の向こう側を透視することができるため、設置場所の景観を損なうことなく情報表示を行うことができます。

空中結像技術の課題と可能性

空中結像が注目される理由

内閣府が提唱するSociety 5.0や、COVID-19感染症拡大の影響により、空中ディスプレイを用いたタッチレス空中インターフェースへの期待が高まっています。空中結像が注目される理由には以下の3つが挙げられます。

1. 未来社会(Society 5.0)の実現に向けた可能性

内閣府によって提唱されている未来社会の科学技術政策であるSociety 5.0は、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させた、人間中心の社会です。空中結像は、このSociety 5.0の実現に向けた重要な技術として期待されています。

具体的には、人の表情や目線を自然な形で取得することで、より直感的で快適な操作が可能となります。例えば、空中ディスプレイに表示されたスタッフとビデオ通話で接客を受けられるシステムや、ユーザーの視線に合わせて情報表示を自動的に調整するシステムなどが考えられます。

2. 従来のディスプレイにはない表現力

空中結像は、従来のディスプレイにはない自由度の高い表現が可能となります。例えば、3D映像を空間に投影したり、複数の映像を重ねて表示したりすることで、より臨場感あふれる情報表示を実現することができます。

また、近年注目を集めているメタバースにおいても、空中結像は重要な役割を果たすことが期待されています。仮想空間と現実空間をシームレスに融合させるために空中結像技術を活用することで、よりリアルで没入感のある体験を提供することができます。

3. 非接触操作による衛生性の向上

従来のディスプレイは、直接画面に触れる必要があるため、感染症リスクが伴います。一方、空中結像は、ジェスチャーや音声などによる操作が可能となるため、接触することなく操作でき、衛生面において大きな利点があります。医療現場や公共施設など、衛生面に特に配慮が必要な場所での活用が期待されています。

空中結像技術の課題

空中結像技術は、従来のディスプレイと同等の解像度と輝度を実現するための解像度と輝度の向上や、より広い視野角で映像を見るための視野角の拡大、活用環境の制約、装置の小型化などの量産化など、今後の普及に向けては課題も存在しています。これらの課題を克服していくことで、より広く普及することが期待されています。

空中結像技術の活用可能性

空中結像技術は、普及率、技術面ともに発展途上にありますが、今後様々な分野での活用が期待されています。

医療現場 手術支援や患者情報表示など
公共施設 案内表示や情報提供など
エンターテイメント ライブ演出やゲームなど
教育 3Dモデルを用いた学習など
メタバース 仮想空間と現実空間の融合

空中結像技術は、私たちの生活を様々な面で変革する可能性を秘めています。今後の技術革新と市場拡大にさらなる注目が集まってゆくでしょう。

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この記事の著者

マイクロウェーブ マーケティングチーム

マイクロウェーブ マーケティングチーム

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