SENSORS

コラム

2013.09.04

アトリビューションで向上する広告効果測定の精度

タグ

Webマーケティングの領域において、アトリビューションという言葉が注目されるようになりました。
"アトリビューション"とは、英語のAttribute 「おかげと考える/~に起因する」を語源とし、もともとは金融業界で使われていた用語で、株式や債券を合わせたポートフォリオ全体を加味して、初めに投資した試算の配分が適切であるかを判定する上で活用されています。(※1)

Web業界でいうアトリビューションとは、顧客が購入や資料請求などのコンバージョンに至るまでの行動導線(リスティング広告やバナー広告など)を計測し、コンバージョンへの貢献度を正しく配分することです。つまり、“直接効果”につながった流入経路・広告だけではなく、成果に至るまでのすべての経路を解析し、成果への“間接効果”を計測した上で、広告の貢献度を明らかにする取り組みです。

キーワードとなる“直接効果”と“間接効果”

「広告の貢献度を明らかにする取り組み」が今になって注目をされている理由には、“間接効果”が計測できるようになったことがあげられます。

従来の広告の効果測定というのは成果につながった直前の広告を評価するのが一般的でしたが、技術の進歩によって、成果につながったユーザーが、直前の広告以前にどのような広告を見たり、クリックしたりといったことが計測できるようになりました。

これによって従来の最終的に成果につながった“直接効果”の広告評価に加え、成果に至ったターゲットを以前に誘導した“間接効果”の広告評価が可能になったことで広告の貢献度を明らかにするアトリビューションが注目されるようになりました。

【直接効果】コンバージョンに至った広告<ラストクリック>

コンバージョンに至った直前の広告。そもそもこのターゲットがどの広告を見て来訪したのか?クリックしたのか?といった、直前以外の広告の評価は加味されません。以前まではこのラストクリックだけを出稿する媒体ごとにコンバージョン数と媒体費からCPAを算出し、評価するのが一般的でした。

【間接効果】コンバージョンに至ったユーザーがクリックした広告<クイックスルー>

コンバージョンに至る以前にクリックした広告。仮にAとBとCの広告を順にクリックしてコンバージョンに至ったユーザーがいると仮定します。ラストクリックだけを評価する場合、直前のクリックである「C」の広告しか評価されませんが、そもそもきっかけとなった「A」や、再来訪させた「B」の広告も評価することができるようになります。

【間接効果】コンバージョンに至ったユーザーが閲覧した広告<ビュースルー>

こちらはコンバージョンに至ったユーザーが閲覧した広告。上記のクリックに対し、こちらは閲覧した広告を指します。特にクリックさせなくても表示させるだけで訴求効果のあるバナー広告などを評価するのに有効です。

間接効果を知ることで、どのようなメリットがあるのか?

例えば、ある消費者が商品購入というコンバージョンを果たしたときの、サイトの流入経路はリスティング広告だったとします。この場合、成果があった広告はリスティング広告だけだったと言えるのでしょうか。実はこの消費者が最終クリックし、コンバージョンに至るまでに、バナー広告Aで商品を認知し(クリックはしなかったが、広告との接触=ビュースルー)、バナー広告Bをクリックして購入意欲が高まったところで(クリックはしたが、購入はしなかった=クリックスルー)検索が誘発され、リスティング広告をクリックしコンバージョンに結び付いたとします。

従来までの広告効果測定ツールでは、コンバージョン直前の最終クリックのみに成果が与えられるような仕組みでした。それでは、最終クリックを促したリスティング広告だけに費用を掛けてしまいがちです。しかし、アトリビューションではラストクリックしたリスティング広告だけを評価する現在の評価方法に加え、初回(バナー広告A)、中間(バナー広告B)、ラスト(リスティング広告)のそれぞれの貢献度を正当に評価することで、バナー広告やリスティング広告のコンビネーションでより効率的にコンバージョン力を高めていくことができるのです。

アトリビューションはサッカーなどのチームスポーツの話でより簡単に例えられます。試合である選手がシュートし得点を決めたとき、その得点を決めた選手だけを評価するのではなく、その得点をアシストした選手も評価します。シュートした選手にパスした選手だけでなく、その手前で相手からボールを奪取した選手も、間接的に成果を上げたものとみなすことができます。

アトリビューションを行うにはどうしたらよいのか?

ここまではアトリビューションとは何か、アトリビューションの効果について述べてきました。では実際にアトリビューションを行うにはどうすればよいのでしょうか。

アトリビューションを行うためには、コンバージョンに至った消費者がどのような経路で広告に接触したかを追跡する必要があります。コンバージョンに至ったユーザーの行動経路を記録したデータ「コンバージョンパスデータ」をもとにアトリビューション分析が可能となるのです。ただし、クリックが発生しない広告の接触(ビュースルー)への対応は第三者配信アドサーバーを利用する必要があります。

アトリビューションに特化した有料ツールもいくつかありますが、最近では通常版のGoogle Analyticsにアトリビューション機能が追加されたことによって、より手軽にアトリビューションが行えるようになりました。

以上のように、広告の直接的な効果だけでなく、間接的な効果を見極めるアトリビューションを行うことで、広告の効果測定の精度を向上させることができます。

ユーザーがどういった経路でコンバージョンを果たしたのかという広告接触経路を「可視化」することで、本質的な効果測定を行うことが可能となり、広告の費用対効果(ROI)を高めることができるのです。
また、広告の評価だけでなくサイト内のコンテンツの正当な評価も行うことができるのです。

解析ツールもいくつかあり、計測方法も様々ですので、お困りの際は弊社へお声掛けください。広告の効果測定に活用してみてはいかがでしょうか。

(※1)出典:「アトリビューション 広告効果の考え方を根底から覆す新手法」田中 弦, 佐藤 康夫, 杉原 剛, 有園 雄一:著、インプレスジャパン

タグ

サービスに関するご相談・お問い合わせ

実績や各種サービスに関するご相談やお見積もりなど、お気軽にお問い合わせください。

この記事の著者

マイクロウェーブ コーポレートプランニング本部

マイクロウェーブ コーポレートプランニング本部

マイクロウェーブ、コーポレートプランニング本部です。
ここでは、人事、採用、労務、研修、管理会計、法務、経理、総務、情シス、広報等、「バックオフィス×デジタルマーケティング」に関係する話題を配信していきます。

一覧に戻る